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2.高電圧誘電スペクトルメータによるシステムの状態推定
私たちが開発している高電圧誘電スペクトルメータは,試料と直列にインピーダンスが既知のフィルタを接続し,パルス電圧を印加します。印加電圧とフィルタの応答電圧を周波数領域で相関処理することで,インピーダンスが計算できます。
従来のインピーダンス計測では,印加電圧とフィルタの応答電圧の位相差からインピーダンスを算出します。したがって,周波数応答を得るために周波数を掃引しながら,その都度に応答電圧を計測する必要があります。その結果として,例えば1
mHzのインピーダンスを取得する場合は1,000 sの時間を要します。私たちの技術は,パルス電圧を一発印加して,信号処理によりインピーダンスの周波数特性を得ることができます。周波数掃引の必要が無く,計測時間はパルス電圧の時間幅で決まるため,極めて短時間に計測が終了できます。
私たちは,高電圧誘電スペクトルメータの技術を応用して,高電圧駆動型のアクチュエータの動作評価に応用すると共に,食品のリアルタイム非破壊診断への適用を目指しています。
具体的には,以下のテーマに取り組んでいます。 1. 食品生産プロセスにおける非破壊状態センシングを可能とするインピーダンス計測技術の革新ーヨーグルトの発酵過程の可視化ー 2. 誘電スペクトルの時系列特徴量に基づいた電界駆動型アクチュエータの動作評価技術の開発 3. 把持持久力の時系列解析に基づいた長期安全・安定な電界駆動型ソフトグリッパーの設計と制御 4. 3D造形食品の食感デザインに資する食品構造破壊センシング技術の開発 5. 食肉の冷凍・解凍過程における大気圧プラズマの利用と誘電スペクトルの時系列特徴量に基づいたリアルタイム状態診断
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